
こんにちは。大治西條ファミリー歯科(旧:星の森ファミリー歯科)、歯科医師の伊東です。
「マウスピース矯正=歯を抜かない」と思われがちですが、実は歯並びの状態によっては、上下左右で合計4本の歯を抜くといった抜歯矯正が必要になることがあります。
抜歯と非抜歯、どちらが良いかは一概には言えず、無理に非抜歯を選ぶと「口ゴボになった」「すぐに後戻りした」と後悔につながるケースもあります。
そこで本記事では、矯正治療で歯を抜く理由、抜歯が必要なケース・非抜歯でできるケース、メリット・デメリットを解説します。
目次
■歯科矯正で歯を抜くのはなぜ?
「健康な歯をわざわざ抜くなんて、もったいない」そう感じる方も多いでしょう。しかし、矯正治療で行う抜歯には、きちんとした理由があります。
たとえば、8冊分しか入らない本棚があるとします。本を9冊入れようと無理やり詰め込めば、本は斜めになったり、はみ出したりしますよね。歯並びも同じです。
あごの大きさに対して歯が多すぎる、または歯が大きすぎる場合、きれいに並べるためのスペースが足りません。このスペースを確保するために、抜歯という選択肢が出てくるのです。
矯正治療で抜歯の対象になりやすいのは、前から4番目か5番目にある「小臼歯」と呼ばれる歯。上下左右合計4本を抜くケースが一般的です。
■マウスピース矯正で抜歯が必要かどうかは歯並びの状態で決まる
「マウスピース矯正=歯を抜かない治療」というイメージをお持ちの方は多いようです。実際、SNSや広告などでも「非抜歯で矯正できる」という言葉を目にする機会が増えました。
しかし、抜歯が必要かどうかは矯正の種類ではなく、歯並びの状態によって決まります。
軽度のガタつきであれば歯を抜かずに治療できることもありますし、重度の出っ歯や叢生(そうせい)では抜歯しないと根本的な改善が難しいケースもあります。
■【歯を抜く矯正】抜歯が必要になる5つのケース
では、どのような歯並びだと抜歯が必要になるのでしょうか。代表的な5つのケースをご紹介します。
◎重度の叢生(歯がガタガタ・八重歯)
「叢生」とは、歯が重なり合ったり、でこぼこに並んでいたりする状態のことです。八重歯も叢生の一種にあたります。
軽度であれば歯を抜かずに並べられる場合もあります。しかし、重なりが大きい場合は歯を正しい位置に動かすためのスペースが不足している状態です。抜歯によってその空間を確保する必要があります。
◎出っ歯(上顎前突)・口ゴボ
上の前歯が前方に突き出している状態を上顎前突(出っ歯)と呼びます。前歯を後方に引っ込めるには、その分のスペースが必要です。
◎受け口(反対咬合)
上下の歯を噛み合わせたとき、下の前歯が上の前歯より前に出ている状態です。この場合も、下の前歯を後方に移動させるスペースが必要になるため、抜歯が検討されることがあります。
◎親知らずが歯並びに悪影響を与えている
親知らずが横向きに生えている・手前の歯を圧迫している場合、矯正治療の妨げになることがあります。特に「遠心移動」といって奥歯を後ろに動かす治療を行う際、親知らずが邪魔になるケースが多いです。
◎重度のむし歯や歯周病で保存が難しい歯がある
すべての抜歯が「健康な歯を抜く」わけではありません。矯正前の検査で、むし歯や歯周病によって保存が困難な歯が見つかることもあります。このような歯は、矯正治療のスペース確保と治療を兼ねて抜歯するケースがあります。
■【歯を抜かない矯正】非抜歯でマウスピース矯正ができるケース
ここでは、非抜歯治療が可能になるケースを紹介します。
◎IPRができる
IPRとは歯と歯の間のエナメル質を削ってスペースを作る処置のことです。削る量は1本あたり0.2〜0.5mm程度。軽度から中程度の叢生であれば、IPRによってスペースを確保し、抜歯を回避できることがあります。
◎歯列を広げられる
あごの骨に余裕がある場合、歯列全体を少しずつ横に広げることでスペースを確保できる場合があります。ただし、無理に広げてしまうと歯茎が下がったり、歯の安定性に影響が出たりする可能性があります。
◎遠心移動ができる
遠心移動とは、奥歯を後ろ(口の奥方向)に動かしてスペースを作る方法です。ただし親知らずが残っている場合は、先に抜歯が必要になることがあります。遠心移動を行う余地があるかどうかは、精密検査が必要です。
◎もともと歯と歯の間にスペースがある
いわゆる「すきっ歯」の状態であれば、もともとあるスペースを活用して歯を並べられるため、抜歯なしで治療できることが多いです。この場合は比較的スムーズに治療が進むケースも多く、治療期間が短くなる可能性もあります。
■歯を抜く矯正と抜かない矯正、結局どっちがいいの?
どちらが良いとは一概に言えません。歯並びや骨格、治療後にどんな仕上がりを目指したいかによって変わってきます。
抜歯矯正は歯を大きく動かせるので、口元のバランスを整えやすく、横顔のラインの改善も期待できます。一方で、健康な歯を失うことに対する心理的な抵抗感は否定できません。さらに、歯を移動させる距離が長くなる分、治療期間が延びる傾向にあります。
非抜歯矯正は、何より健康な歯を残せることが最大のメリット。抜歯に伴う痛みや腫れがなく、心理的なハードルも低いです。しかし、無理に抜歯を避けようとすると、スペース不足で歯が並びきらないリスクが生じます。仕上がりに後悔するケースがあるのも事実です。
どちらを選ぶかは、メリット・デメリットを理解した上で、歯科医師とよく相談して決めることがとても大切になります。
【抜歯が必要かどうかは精密検査が必要】
抜歯の要否は、治療の種類ではなく歯並びや骨格の状態によって決まります。
あごのスペースが根本的に足りない重度の叢生や出っ歯などでは、上下4本の抜歯によってスペースを作る必要があります。
一方で、IPR(歯を少し削る処置)や遠心移動などでスペースが確保できる症状であれば、非抜歯での治療も十分に可能です。
健康な歯を残したいという気持ちはとても大切ですが、無理に非抜歯にこだわると、歯が並びきらずに口元が前に出てしまい、仕上がりに後悔する原因にもなりかねません。
抜歯・非抜歯のどちらにもメリットとデメリットがあるため、まずは精密検査やカウンセリングを受けることをおすすめします。
「自分の歯並びは抜歯が必要なタイプ?」「マウスピース矯正で本当に治せるの?」そんな疑問や不安をお持ちの方は、ぜひ大治西條ファミリー歯科にご相談ください。
