抜歯後にあごの骨が溶ける?見た目への影響と骨吸収の予防法|大治町・あま市の歯医者|大治西條ファミリー歯科

〒490-1144
愛知県海部郡大治町西條南井口16

ブログ BLOG

抜歯後にあごの骨が溶ける?見た目への影響と骨吸収の予防法

抜歯後にあごの骨が溶ける?見た目への影響と骨吸収の予防法

抜歯後の「あごの骨が溶ける」という言葉が気になっている方へ


奥歯を抜いた後に「あごの骨が溶ける」という話を目にして、口元の変化が気になっていませんか。骨の減少(骨吸収)は歯を失った後に起こりうる生体反応で、進み方には個人差があります。仕組みと見た目への関わり、進行をゆるやかにする考え方を整理しました。


この記事の要点まとめ


  • 抜歯後は噛む刺激が減り、あごの骨が少しずつ減っていく反応(骨吸収)が起こると考えられている
  • 骨の減少は口元のハリや隣の歯の傾き、将来の入れ歯・インプラント治療の選択肢に関わる場合がある
  • 抜歯後のケアや骨保存処置、歯科用CTでの状態確認が、進行をゆるやかにし早期把握につながる

抜歯後にあごの骨が溶ける(骨吸収)仕組みと進行スピード

抜歯後にあごの骨が溶ける(骨吸収)仕組みと進行スピード

「溶ける」と聞くと驚いてしまいますが、実際に起きているのは、骨が生まれ変わる過程でバランスが変化し、量が少しずつ減っていく現象です。まずは成り立ちから見ていきましょう。


噛む刺激の消失による廃用性萎縮のメカニズム


歯は歯根を通してあごの骨とつながり、噛むたびに適度な力が骨へ伝わります。この刺激が骨をつくる細胞の働きを支えているため、歯を失うと刺激が届かず、骨を壊す側の働きが相対的に優位になると考えられています。使われない部分が縮んでいく反応は廃用性萎縮と呼ばれ、長期の安静で筋肉や骨が細くなる現象と近い考え方です1


重度のむし歯や歯周病から抜歯に至ったケースでは、抜歯前の段階で周囲の骨が影響を受けていることもあります3。骨吸収そのものに強い痛みが伴うことは少なく、自覚しにくいまま進みやすい点が特徴といえるでしょう。


抜歯後数ヶ月で進みやすい骨減少のペースと個人差の要因


骨の変化は抜歯直後から始まり、特に最初の3〜6ヶ月は幅や高さの減少が目立ちやすいと報告されています。その後もゆるやかに続くとされ、そのままの期間が長くなるほど条件は変わっていきます。


進み方は一律ではありません。年齢、抜歯前の歯周組織の状態、糖尿病などの持病、喫煙習慣、骨粗しょう症の有無などが関わってきます12。部位による違いもあり、骨が薄い前歯は見た目に表れやすく、奥歯では高さの減少が将来の治療計画に関わりやすい傾向。親知らずの部分でも骨は変化しますが、噛み合わせに関与していなければ受け止め方は変わってきます。


あごの骨がやせることによる口元の見た目や将来の治療への影響


骨の量は、口元の形と将来の治療の選択肢という二つの面に関わります。過度に不安を抱く必要はありませんが、知っておくと判断がしやすくなるはずです。


頬のこけや口元のハリ低下といった見た目への変化


あごの骨は、皮膚や筋肉を内側から支える土台の役割を担っています。ボリュームが減れば支えが弱まり、口元のハリが失われたように見えたり、頬のあたりがへこんだ印象になることも。奥歯を複数失った状態が続くと噛み合わせの高さが下がり、輪郭の印象に関わるケースも指摘されています1


とはいえ、見た目の変化は骨だけが理由ではなく、加齢による皮膚や脂肪の変化も重なります。1本抜いただけで急に顔が変わるわけではないため、まずは今の骨の状態を客観的に把握するところが出発点になります。


隣の歯の傾斜や将来的なインプラント・義歯治療への制限


抜けたスペースをそのままにしておくと、隣の歯が倒れ込んだり、噛み合う相手の歯(対合歯)が伸び出てくることがあります。歯並びのバランスが変わると清掃も難しくなり、むし歯や歯周病のリスクが高まる流れにつながると考えられています3


骨の量が減ると、入れ歯の安定が得にくくなったり、インプラントを検討する際に骨造成(GBR)などの追加処置を必要とする場合もあります。自由診療となる骨造成は処置範囲によって費用が変わるため、事前の見積もり確認をおすすめします。当院には口腔外科やインプラント関連の認定を持つ歯科医師が在籍し、セカンドオピニオンにも対応しています。治療方針に迷いがある段階でのご相談も可能です2


骨吸収を抑えるための対策と歯科用CTを活用した確認方法

骨吸収を抑えるための対策と歯科用CTを活用した確認方法

骨の変化を完全に止めることは難しいものですが、進み方をゆるやかにする工夫や、状態を早めに把握する方法はあります。


抜歯直後のセルフケア注意点と骨保存(ソケットプリザベーション)の選択肢


抜歯後の傷口には血液の固まりができ、これが骨の回復の土台になります。ですから、強くうがいをする・傷口を舌や指で触る・喫煙するといった行為は控えたいところ。喫煙は血流を妨げ、治癒の遅れにつながると指摘されています1。痛みや腫れが強いときは自己判断で対処せず、処置を受けた歯科医院へご連絡ください。


専門的な対応としては、抜歯と同時に骨補填材などを用いて骨の減少を抑えるソケットプリザベーション(骨保存)という考え方があります。骨が減った後に量を回復させるGBR(骨造成)とは目的が異なり、前者は「減りにくくする」、後者は「補う」処置。なお、抜歯と同時にインプラントを入れれば骨保存処置が不要になるとは限らず、骨の状態を診ながら併用も検討します。


また、骨粗しょう症の治療でビスホスホネート製剤などの骨吸収抑制薬を服用中の方は、抜歯にあたってあごの骨の壊死(MRONJ)への配慮が必要とされています。休薬の判断は歯科だけで決められるものではなく、処方元の医師との医科歯科連携のうえで検討します2。服薬中の方は、お薬手帳を必ずご持参ください。


歯科用CTで骨の厚みや高さを立体的に把握する受診の目安


平面のレントゲンでは、骨の高さは分かっても厚みまでは読み取りにくいという制約があります。歯科用CTであれば、骨の幅・高さ・神経や血管との位置関係を立体的に確認できます。当院では、あごの骨や神経などの状態を把握するための歯科用CTやデジタルレントゲンを備え、口腔内スキャナーなども活用しながら診療にあたっています。


受診の目安になるのは、抜歯から数ヶ月そのままにしている、隣の歯が動いてきた感覚がある、入れ歯が合わなくなってきた、といった場面です。判断に迷ったら、早めに状態を確認しておくことで検討できる選択肢が広がります。海部郡やその周辺からお越しの方も、まずは現状把握からご相談いただけます。


よくある質問


Q1. 抜歯後にあごの骨の壊死(MRONJ)が起こると、どのような症状がみられますか?

A. 抜歯部位の治癒が長引く、骨が露出したように見える、持続する痛みや腫れ、口臭の変化などが挙げられます。骨吸収抑制薬を服用中の方に生じうる状態とされていますので、気になる所見があれば早めに歯科医院と処方元の医師へご相談ください。


Q2. あごの骨が溶ける段階で自覚症状はありますか?

A. 骨吸収そのものは痛みを伴わないことが多く、気づきにくい経過をたどります。入れ歯が合わなくなる、隣の歯が動いた感じがする、口元の印象が変わったといった変化が手がかりになる場合もあります。


Q3. 骨吸収抑制薬であごの骨の壊死が起こるのはなぜですか?

A. 骨の代謝回転を抑える作用によって、あごの骨の治癒反応が起こりにくくなることが関与すると考えられています。報告されている発生頻度は限られており、服用しているからといって抜歯ができないわけではありません。医科歯科連携のうえで方針を検討します。


Q4. むし歯が原因であごの骨に影響が出た場合、どのような治療になりますか?

A. 感染源の除去が基本で、根の治療や歯周治療、状態によっては抜歯も検討します。骨の欠損が大きい場合は、骨保存処置や骨造成を組み合わせる選択肢もあります。診査の結果によって方針は変わってきます。


Q5. 骨造成の費用はどのくらいかかりますか?

A. 自由診療となる場合が多く、処置範囲や使用材料によって幅があります。カウンセリング時に検査結果をもとにお見積もりをご提示しますので、費用面の不明点も遠慮なくお尋ねください。


参考文献


1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/

2. 厚生労働省(政策・健康情報の入口) https://www.mhlw.go.jp/

3. 日本齲蝕学会 https://www.jacd.jp/


伊東 雅哲

歯科医師


大治西條ファミリー歯科

院長

伊東 雅哲

▶ 監修者プロフィール

資格・所属学会
歯学博士
日本口腔外科学会認定 口腔外科認定医
愛知学院大学歯学部附属病院 口腔外科
口唇口蓋裂特殊外来 非常勤講師
日本口腔ケア学会評議員
国際口腔インプラント学会認定医
日本再生医療学会認定 再生医療認定医